足の裏の痛みの原因と治療法
2020年04月06日
こんにちは。かとう鍼灸整骨院上沢院の鍼灸師、池嶋です。
相変わらず新型コロナウイルスが世界中で猛威をふるっておりますが、いかがお過ごしでしょうか。マスク、手洗い、換気を徹底し、頑張ってみんなでこの状況を乗り越えましょう!
さて、今回お話しさせていただくのは「足の裏の痛み」についてです。代表的なものとしては「足底腱膜炎(そくていけんまくえん)」と呼ばれるものがあります。
「足のケガ」の中では膝や足首のケガよりも頻度は少ないですが、一度発症してしまうと非常に治りにくい厄介なケガとなります。今回はこのような痛みについてお話ししたいと思います。
足の裏にかかる負担の種類
足の裏に出る痛みは、主に体重がかかった状態で生じます。そのため、「圧迫によって痛みが出ている」と思われがちですが、実はそれ以外の負荷で痛みが出ることもあります。
足の裏は真っ平ではなく、「アーチ」と呼ばれる弓型のへこみがあります。これが地面から体に伝わる衝撃を緩和するクッションの役割をしてくれています。そしてこの「アーチ」の形を維持するために様々な筋肉や腱、靭帯がはたらくことで強く骨を引っ張る力が発生しています。このような「引っ張る力」が過剰になり痛みが出る場合に考えられるのが「足底腱膜(そくていけんまく)」の障害による痛みです。
また、純粋な「圧迫の力」が過剰になることで痛みが出る場合には、前述の足底腱膜と脛骨神経に加えて「踵骨下脂肪体(しょうこつかしぼうたい)」の障害が考えられます。以下でこれらについてさらに詳しくみていきましょう。
足の裏の痛みの原因になるもの
- 足底腱膜(そくていけんまく)
足底腱膜とは、足の裏にある筋肉を覆っている分厚い靭帯のような膜です。この膜は踵(かかと)の骨からすべての足の指の付け根までつながっていて、足の裏のアーチを保つはたらきをしています。
また、歩く時に踵が地面から離れると足底腱膜が引っ張られてアーチが持ち上がり、つま先の強度が上がるようになっています。これを「ウィンドラス機構」と言います。
これ自体は必要な機能なのですが、長時間にわたっての歩行や走行によって足底腱膜は引っ張られ続けることになり、やがて痛みが発生します。この状態が「足底腱膜炎(そくていけんまくえん)」と呼ばれます。
足底腱膜炎になりやすい人の主な特徴として以下のものがあります。
①長時間の立ち仕事をする
②肥満(BMIの数値が30以上)
③足首曲がりにくい
- 踵骨下脂肪体(しょうこつかしぼうたい)
踵骨下脂肪体は足の裏の踵部分を包み込む脂肪のかたまりで、スポンジのようなものです。スポーツなどで繰り返し踵に衝撃を受けたりして、スポンジが損傷すると痛みを生じます。また、スポンジ自体が硬くなってしまい、足底腱膜炎や踵の骨折の原因となります。
これらを治療には共通する点が多く、以下でその考え方について述べていきます。
足の裏の痛みの治療法
- 膝・股関節を伸ばす筋肉の筋力低下が原因の痛み
膝関節や股関節を伸ばす筋肉が弱った状態でランニングやジャンプ動作を行うと、足の指を曲げ伸ばしするための筋肉が過剰にはたらく状態となります。すると、足底腱膜が強く張り過ぎて痛みが出ます。
この時、ふくらはぎの奥深くにある「長趾屈筋(ちょうしくっきん)」という筋肉が縮んで硬くなっていることが多いです。足首と足の指を曲げ伸ばしする運動を繰り返しながら最も硬い部分を圧迫することで、筋肉本来の柔軟性を取り戻します。
また、膝関節を伸ばす筋肉である大腿四頭筋(だいたいしとうきん)や股関節を伸ばすためのおしりの筋肉である大殿筋(だいでんきん)を強化するため、スクワットなどのトレーニングが必要になる場合もあります。
- 足首の柔軟性低下とゆがみが原因の痛み
足首の柔軟性が低下して曲がりにくくなると、しゃがむ動作やジャンプ動作が思うようにできません。そんな時、足の裏のアーチをあえて通常よりも低くすることで足首の動きの代わりをしようとします。これが足底腱膜の緊張を強めてしまい、痛みを生じます。
これに対しては、腓腹筋(ひふくきん)・ヒラメ筋と呼ばれるふくらはぎの筋肉のストレッチによって足首の関節を曲がりやすくします。
また、足首の関節を構成している脛骨(けいこつ)、距骨(きょこつ)、踵骨(しょうこつ)といった骨の配列が正しい位置からずれていることがあります。これに対してはカイロプラクティックやモビリゼーションと呼ばれる徒手療法を用いて正しい配列に戻します。
さらに、ふくらはぎ全体を「お灸」の熱で温め、血液循環を改善することでより一層効果を高めることができます。
まとめ
上記のような足の裏の痛みは決して怖いケガではありません。必ず痛みは治まり、元の健康な状態に戻ります。
ただしこのケガの厄介なところは「安静にする」ことが難しい点です。日常生活で立ったり歩いたりする動作はほぼ必須ですので、「足の裏に負担がかからないようにする」ことがなかなかできないのです。
そのため、治療を受ける頻度にもよりますが、完全に治るまでには2~3か月ぐらいはかかると考えられます。長時間の立ちっぱなしを避けたり、スポーツをしている場合は練習を一時休んでいただくことができる場合は、それよりもかなり早く治すことができます。
どちらにしても放っておくと、治らないだけでなく悪化する場合もありますので、痛みでお困りの方はぜひ一度私たちにご相談ください。
このブログを書いたスタッフ
[はり師・きゅう師]
池嶋 洋介(いけじま ようすけ)
趣味は旅行、音楽ライブなどの楽器の生演奏を聴く事。 水泳・器械体操や格闘技の経験があります。 西洋医学と東洋医学、それぞれの良い所を使って日々施術させて頂いております。