筋力トレーニングの基礎・筋肉の「収縮(しゅうしゅく)」をマスターしよう!
2019年05月21日
こんにちは。かとう鍼灸整骨院上沢院のスタッフ池嶋です。今回は症状や治療から少し離れて筋力トレーニングの基礎に関係するお話をさせていただこうと思います。
突然ですが、みなさんは健康のために筋力トレーニングをすることはありますか?
最近ではトレーニングに関する理論もかなり進化してきており「インナーマッスル」や「アウターマッスル」、「ファンクショナルトレーニング」、「アイソメトリックトレーニング」などといった専門的な言葉も、多くの方に知られるようになってきました。
ただしその反面、それらを勉強しようとして本を手にとっても、説明文の中に多くの専門用語が出てきます。
例えばトレーニングに興味のある方が筋トレの本を読んでいて、よく似ているけれども少し違う単語が出てきた場合、「この2つの言葉は何が違うの?」という状態になります。
自身の解釈が正しかった場合は問題ありませんが、誤解したままトレーニングをしてしまった場合には、健康になれないだけでなく、逆に体に不調をきたすこともありえます。
そこで今回は主に筋肉の「収縮」という言葉をテーマに、スポーツ・トレーニング・医学の分野で使われる正しい意味を解説していきたいと思います。
筋肉における「収縮」とは?
一般的な意味として「収縮」とは文字通り「長さが縮む(ちぢむ)」ことです。
しかし、実は筋肉における収縮とは「縮もうとして力が入ること」と解釈します。つまり力を入れた結果、実際にその筋肉の長さが縮んだかどうかに関係なく、とにかく「力を入れた」だけで「収縮」と解釈します。
例えば、手さげ袋を持ち上げる際に、重力に逆らって肘を曲げる動作を考えてみましょう。ちょうど力こぶができるような肘を曲げる動きです。
この「力こぶ」に相当する筋肉は上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)と呼ばれます。手さげ袋の取っ手を手でつかみ、腕をまっすぐ下におろした状態をスタートとします。この時は当然上腕二頭筋には力が入っていません。
【筋肉収縮の動作の例】
①最初、ゆっくりと肘を曲げていき、手さげ袋を持ち上げます。
②そして肘が直角まで曲がったところで動きを止め、その状態をキープします。
③今度はゆっくりと手さげ袋を下げていき、腕がまっすぐになるまでおろします。
実はこの3つの動作、すべて上腕二頭筋の収縮が起こっているのですが、その収縮の結果が異なるのです。順を追って説明しましょう。
求心性収縮(きゅうしんせい しゅうしゅく)
そもそも上腕二頭筋は、簡単に言うと「肘を曲げる」筋肉です。つまり「肘が曲がっていく」①の段階では、筋肉が縮んでいく途中です。
重力に打ち勝てる程度の強い力を入れることによって、実際に肘が曲がっていくということです。このような状態を「求心性収縮(きゅうしんせい しゅうしゅく)」と言います。筋肉の収縮が起こった結果、実際に筋肉が縮むことができた場合です。
等尺性収縮(とうしゃくせい しゅうしゅく)
②の段階では肘が直角の状態で静止しています。しかし、止まっているからといって力が入っていないわけではありません。
もし力が抜ければ重力に負けて肘が伸びてしまい、カバンは下にさがってしまいますよね。これは重力と全く同じ程度の力を上腕二頭筋に入れることによって姿勢を維持しているのです。
このとき肘は曲がりもしなければ伸びもしません。つまり、上腕二頭筋は縮んでいくことも伸びていくこともせず、同じ長さをキープしています。
この状態を「等尺性収縮(とうしゃくせい しゅうしゅく)」と言います。
遠心性収縮(えんしんせい しゅうしゅく)
おそらく最も混乱しやすいのが③でしょう。この段階では直角に曲がっていた肘がゆっくりと伸びていき、手さげ袋を下におろすような動作です。このとき筋肉にはどのような力を入れているかわかりますか?
答えは「肘を曲げようとする力」です。
「え?肘を伸ばそうとする力を入れてるんじゃないの?」と思った素直なあなた、今回のお話はまさにあなたのためのお話です!落ち着いてゆっくりと考えてみましょう。
②の段階で静止していても「肘を曲げる力」をずっと入れているのでした。この力を突然抜くとどうなりますか?
重力に逆らっていた力を抜くのですから、肘は急激に伸びて手さげ袋は落ちるように急激に下がりますよね?
つまりこの状況で肘を伸ばしたいのであれば、そもそも「肘を伸ばそうとする力」なんて入れる必要がなく、ただ「肘を曲げようとしていた力を抜く」だけでいいのです。
ところがこれだと、前述のように手さげ袋を落とすような急激で荒っぽい動作になってしまいます。
そこで、肘が伸びていく状況に対して「ブレーキ」をかけるように力を入れることで「ゆっくりと肘を伸ばす」ことができるわけです。
少しだけ重力に負ける程度の弱い力で「肘を曲げようとする」ことによってブレーキの効果を発揮でき、結果的には肘が伸びていくのです。
そして「肘が伸びていく」ということは上腕二頭筋の長さは「伸びていく」ということです。
このように、「縮もうとする力を入れつつ、実際には筋肉が伸びていく」現象を「遠心性収縮(えんしんせい しゅうしゅく)」といいます。
まとめ
いかがでしたか?単に筋肉の収縮といっても案外難しいと感じた方もいらっしゃるかもしれません。
実際のトレーニングでは「どの場所の筋肉に何収縮をさせるか」ということを意識できると非常に効果的です。
もし自分のトレーニングに不安や疑問がある方は、お気軽に私たちにご相談ください。正しい知識で正しいトレーニングを行い、健康で元気な毎日を過ごしましょう☆
このブログを書いたスタッフ
[はり師・きゅう師]
池嶋 洋介(いけじま ようすけ)
趣味は旅行、音楽ライブなどの楽器の生演奏を聴く事。 水泳・器械体操や格闘技の経験があります。 西洋医学と東洋医学、それぞれの良い所を使って日々施術させて頂いております。