「お灸」とは?どんな効果がある?
2019年02月26日
こんにちは、かとう鍼灸整骨院上沢院のスタッフ池嶋です。今回は整骨院や鍼灸院で鍼治療とともに利用されることが多い「お灸治療」に関してお話をさせていただきたいと思います。
「お灸」は「お仕置き」ではありません!
「お灸」と聞くと、年配の方であれば「子供が悪いことをしたときにお仕置きとして据えられる熱いやつ」と思われがちです。また、10代~20代の若い世代の方にいたっては「そもそもお灸って何?」という方も多いと思います。
医療と言えば西洋医学が主流になった現代において、「お灸」という言葉に対して何もイメージがわかない、もしくは怖いイメージしかないといった理由から敬遠されがちです。
そこで、本来のお灸治療の目的と効果とはどういったものなのかをお話ししたいと思います。
まず見出しにもあるように、お灸本来の目的は決してお仕置きではありません(笑)。れっきとした治療であり、体を温めることで様々な不調を回復させる方法です。お灸の効果は以下の3つです。
①熱で血管を広げて血液の循環を良くする
②患部に白血球を集める
③白血球を若返らせる
順番に説明していきましょう。
①熱で血管を広げて血液の循環を良くする
人間の皮膚には圧力や熱さ、冷たさなど、様々な感覚を感じる装置とその感覚を脳に伝えるための神経がたくさん存在します。特に熱さを感じる装置は神経を介して血管とつながっており、皮膚が熱を感じるとすぐに血管に対して「広がれ」という命令が伝わるようになっているのです。これを神経の「軸索反射(じくさくはんしゃ)」と言います。
これにより血管が太くなり、多くの血液が流れるようになります。血液には多くの栄養分が含まれていますので、その栄養分がたくさん患部に流れてくることで回復スピードが高まるのです。
②患部に白血球を集める
筋肉や神経が何らかの原因で傷ついたとき、当然ですが元の状態に回復させなければいけません。その作業をしてくれる主役が白血球と呼ばれる細胞です。
例えて言うなら、体の回復とは道路や建物の補修工事で、白血球は工事現場の作業員のようなものです。上述のように血液にのって流れてくる栄養分が木材やセメントなど、工事に必要な材料に相当します。
ところでこの白血球、普段は血液に含まれて血管の中を流れていますが、傷ついた筋肉や神経(つまりは工事現場)の近くを通りかかると血管の外へ出て患部に向かっていく能力を持っています。これを白血球の「遊走作用(ゆうそうさよう)」と言います。お灸治療によりこの遊走作用を高め、短時間でより多くの白血球を患部に集めることで回復のスピードアップを図ります。
ではなぜお灸によって白血球は「今自分が工事現場の近くを通りかかっている」ことがわかるのでしょうか。そのあたりをもう少し詳しくお話しましょう。
皮膚への熱ダメージによって発生するヒストトキシンの効果とは?
皮膚は熱によりダメージを受けると「ヒストトキシン」という物質が発生します。これは別名「熱毒素(ねつどくそ)」とも呼ばれ、体にとっては決して良いものではありません。
しかし、体内にはある毒素をキャッチすると警報を発令する、いわば火災報知器のような装置が存在します。そして毒素をやっつける役目を負っているのが白血球であるため、ヒストトキシンが発生した場所からは「ここに白血球をたくさん集めろ!」という警報が発令されます。
道路の一定間隔のところに緊急用の電光掲示板を設置しておき、「この先右折して〇〇キロメートルの場所に工事現場あり」と表示すれば、現場から遠いところを走っている作業員(白血球)も行くべき場所がはっきりわかり、その結果多くの作業員が現場に集まると考えて頂ければわかりやすいでしょうか。偶然近くを通りかかった作業員にだけ声をかけるよりも、もっと積極的に多くの作業員を集めることができます。
つまり、いったんわざと毒素をつくりだし、それをやっつけるために集まってくる白血球を利用して、それ以外の仕事もやってもらおうという上手い技なのです。しかもこのヒストトキシンはたくさん発生しなくても効果が得られます。治療中はじんわりと心地よい温かさを感じ、治療後にはほんのり皮膚が赤くなる程度で跡形はいっさい残りません。
③白血球を若返らせる
お灸の熱による効果はもう1つあります。それは白血球を若返らせる効果です。
体の中に存在する白血球は、若くて働き盛りのものから老いて定年間近のものまで、色々なものが一定の割合で存在します。お灸の熱刺激は新しい白血球を生み出す活動を活発にする効果があるため、相対的に若くて働き盛りな白血球の割合を増やすことができるのです。
正確に言うと一度老いた白血球を若返らせるわけではありませんが、若くて能力の高い白血球を多くすることができます。
まとめ
いかがですか?
前述のように体の回復を工事に例えると、工事現場に
①たくさんの作業用道具を運び込み
②たくさんの作業員を呼び集め
③集める作業員はできるだけ若くて力の強い者にする
このような仕組みにより、筋肉や関節の痛みを素早く取り除いたり、胃腸や自律神経のはたらきを整えたりと様々な効果を発揮します。
お灸治療に対して「体の調子を良くしたいとは思うけれども、なんだか怖い」と感じていたあなた、お灸治療に苦痛はいっさいありません!ぜひ当院にお越しいただき、この素晴らしい治療を体感してください!
このブログを書いたスタッフ
[はり師・きゅう師]
池嶋 洋介(いけじま ようすけ)
趣味は旅行、音楽ライブなどの楽器の生演奏を聴く事。 水泳・器械体操や格闘技の経験があります。 西洋医学と東洋医学、それぞれの良い所を使って日々施術させて頂いております。