鍼治療の効果とメカニズム
2018年11月28日
こんにちは。かとう鍼灸整骨院のスタッフ池嶋です。今回は「はり(鍼)」の治療について、その効果と仕組みをお話ししたいと思います。
鍼治療は痛い?
「はり」の正式な漢字は「鍼」という難しい字で表しますが、要は体に「針」を刺すという刺激により、筋肉をやわらかくしたり体の痛みやシビレを取り除いたりする治療です。針の先に何か特別な薬を塗っているわけではありません。本当にただ「体に針を刺すだけ」で様々な症状を改善できるという、実はスゴイ治療なのです!
ところで「体に針を刺す」というと、普通はすごく怖いイメージを抱いてしまうと思いますが、全く心配ありません。当院の針は髪の毛の太さに近いぐらいの超極細のもの(直径0.10mm~0.16mm)を使いますので、刺されてもほとんど何も感じないまま治療が終わります。よく意識を集中させると「少し何かが肌に触れているような感じがするかな」ぐらいのものです。
そのため、患者様の中には「何も感じなかったけど、これ本当に効くの?」とおっしゃる方もいらっしゃいます。そのような時には「必要な刺激は体の中にちゃんと伝わっていますので大丈夫ですよ」とお答えさせていただいています。
ただ正直に申しますと、ごくまれではありますが、少しだけ痛みを我慢していただかなければいけない治療もあります。それは「シビレ」に対する治療です。これは「はり」以外にも様々な治療が必要になる場合が多く、治るのに時間もかかります。
そのため、重度のシビレであれば、回復を少しでも早めるために通常よりも強めの刺激が必要になることがあります。ですが、そのような場合は非常にまれです。仮にそうであったとしても必ずその旨を患者様にお伝えし、「どうしても治療が怖い」という場合には無理強いするようなことは致しません。別の治療プランを組み立てなおして完治を目指していきます。
人間の体というのは、いったん「怖い!」もしくは「嫌だ!」という感情が強く出てしまうと、脳から「今から体に入ってくる刺激はすべて拒否しろ!」という指令が体中に出てしまいます。一種の防衛反応がはたらくのです。
このような状態では「鍼治療」をいくらおこなっても、本来起こるはずの「体にとって良い変化」がなかなか起こらず、治療効果が期待できません。そのような治療はむしろ逆効果なのです。私たちはあくまで「治る」という事を第一に考え、あなたに最適な治療プランをご提案いたします。
それでは次に、具体的に鍼治療の効果についてお話ししましょう。
鍼治療の効果は?
鍼治療が効果的な主な症状は大きく分けて以下の2種類があります。
・筋肉や関節など体の「痛み」。
・筋肉が縮んで硬くなっていることによる「こり感」や「だるさ」。
はりの刺激は「回復の優先順位アップ」の合図!
上で述べた症状に対し、なぜはりで改善できるのかということについてお話しいたします。鍼治療全体に言えることなのですが、体にとって「はりの刺激」というのは「今は特にこの部分を優先的に回復させましょう」という合図になります。
筋肉や靭帯(じんたい)、関節を包んでいる膜などが傷つくと、その壊れた部分をいったん取り壊し、新しく作り直すという作業が体の中で自動的に行われます。この時、血液によって運ばれてくる栄養分がたくさん必要になります。ところが血液というのは普段全身をまんべんなく循環しており、「特に体の一部分だけ多く流れている」ということはありません。
そこで、傷ついた部分もしくはその周りの部分にはりの刺激を与えると、「ああ、今はここにたくさん栄養分が必要なんだ」ということを体や脳が理解してくれるのです。
すると体の中で「この部分に集中的に栄養をたくさん運べ!」という指令が出ます。その結果、傷ついた部分の周りの血管が広がり多くの栄養分が集まりやすくなるため、回復のスピードが上がるのです。
そして、これ以外にも各症状に応じて別の効果があります。
これら1つ1つについて詳しくお話していきましょう。
①「痛み」について
そもそも、「痛み」というのは「今ここが傷ついてますよ」ということを脳に知らせる信号です。これは体にとって非常に大切な信号なのですが、一度脳がそれを理解したにも関わらず回復に時間がかかっていると、「まだここに傷がありますよ!」という信号をいつまでも送り続けてしまいます。こういった過剰な信号を止めることにより痛みを止めます。回復を促進しつつ余分な痛みを減らす効果があるのです。
②「こり感」や「だるさ」について
実は全身の筋肉には1つ1つ「快適な長さ」というものがあります。筋肉それぞれに「自分はこの長さでいるときが一番リラックスして快適だ」という状態があるというわけです。
ところが、日常生活では立ちっぱなしや座りっぱなしで何か作業をしなければいけない場面が多々あります。そうなると、「ある筋肉は縮んだままになり、また別の筋肉は引き延ばされたままになり・・」といった状況が発生します。そして筋肉というのは1つの状態が長時間続くと、その状態のまま固まってしまうのです。
そういった筋肉をはりで刺激すると、神経を介して「適度にリラックスしなさい」という信号が発生します。これにより筋肉の「快適な長さ」を取り戻し、だるさを解消します。
最後に
いかがでしたか?薬を一切使わない治療ですが様々な効果を発揮する「はり」治療。苦痛のない安全な治療をぜひ当院で受けて頂き、「ああ、自分の体って本当はこんなに元気だったんだ」ということを実感じてください!
このブログを書いたスタッフ
[はり師・きゅう師]
池嶋 洋介(いけじま ようすけ)
趣味は旅行、音楽ライブなどの楽器の生演奏を聴く事。 水泳・器械体操や格闘技の経験があります。 西洋医学と東洋医学、それぞれの良い所を使って日々施術させて頂いております。